紙の在り方:紙を知る。 市民団体に聞いた使う知恵、作る知恵
再生紙偽装問題をきっかけに、環境に負荷をかけない紙の在り方が問われている。紙にかかわってきた市民団体の取材を通して、原料調達から製造、紙の使い方、販売での情報公開までさまざまな課題が見えてきた。【足立旬子】
◇CASE1--チリがあっても
古紙回収に取り組むNPO「中部リサイクル運動市民の会」(名古屋市)事務局のコピー機にはA4のトレーが二つある。いずれも再生紙が入っているが、白さが違う。生成りの用紙は同会が地元製紙メーカーと共同開発した新聞古紙100%を原料にした白色度60%(新聞紙の白色度は55%)の紙だ。表面にはわずかにチリがある。
「古紙を使うと、チリが入ります。でも、打ち合わせ資料はこれで十分。契約書など数年保存が必要な紙は白色度の高い紙でと、使い分けています」と和喜田(わきた)恵介事務局長は説明する。
古紙から再生紙をつくるには、古紙を水に溶かした後、薬品を入れて水洗いし、上澄みのインキを取り除く。白色度を上げるためには、水洗いの時間を長くしなければならない。この工程で水に溶けた紙が流れてしまうため古紙の投入量が多くなり、水や熱の使用量も増えるという。
01年に豊橋技術科学大の研究グループと共同で古紙回収から製造、廃棄までの二酸化炭素(CO2)排出量を比較したところ、白色度を60%から70%に上げると、排出量が約2割増えた。
◇CASE2--間伐材を生かして
東京都港区の環境NPO「オフィス町内会」事務局にはカラフルに印刷された環境報告書やパンフレットが並ぶ。裏には「間伐に寄与した紙」のマーク。岩手県岩泉町の間伐材を山から搬出する費用を企業に負担してもらい、山の資源を有効利用する活動だ。
国内では多くの人工林が人の手が入らない暗い森となっている。間伐しても、山から運び出し製紙会社に輸送する経費が赤字となることが大きい。そこで、サポーター企業を募集し、1割高く紙を買ってもらう仕組み「森の町内会」をつくった。
間伐はこれまで5回行われた。05~06年の最初の間伐では1・8ヘクタールのアカマツを間伐し、47・3トンを得た。伐採、作業道開設、輸送で計177万円かかったのに対し、間伐材の売却代金に国や県などからの補助金を足しても68万円が不足する。この不足分をサポーター企業が間伐促進費として負担。間伐材と同じ重さの紙を「間伐に寄与した紙」として購入する。
半谷栄寿(はんがいえいじゅ)事務局代表は「町にとっては、森林の健全化、製紙メーカーにとっては、割高でも買ってくれることが分かっていれば安心して製造できる」と説明する。サポーター企業は現在34社。100社を目指している。
◇リサイクル1回で品質は2割劣化する
全国製紙原料商工組合連合会の栗原正雄理事長は「上質なコピー用紙を古紙だけでつくるにはそもそも無理がある」と指摘する。コピー機が高速化し、短時間に多数のコピーをしても紙詰まりが起こらない紙をつくるためには、ノート製造や製本の過程で出る裁断クズのような未印刷の上質な古紙が必要という。だが、回収量は限られている。
さらに、紙の繊維はリサイクルするたびに短くなり、1回で2割劣化するという。このため、質を次第に下げながらリサイクルされている。
栗原さんは「紙の用途に応じて配合率を考えるべきだ。トイレットペーパーなど使った後は捨てられる紙は古紙だけで作ればいい」と話す。
リサイクル意識の高まりで、97年ごろから古紙の回収量は年々増え続けている。06年には古紙の回収率は70%を超え、利用率も60%を超えた。一方で、紙原料の木材チップの7割は外国産だ。環境コンサルタントの市瀬慎太郎さんは「古紙を上手に活用する一方、国内の貴重な資源である間伐材も利用し、海外からの木材は持続可能な森林から調達する。いかにバランスよく使うかだ」と指摘。そのうえで「製紙メーカーや紙の納入業者、出版社などの版元、ノートメーカーは紙の原産地を公開し、なぜその配合でつくっているかを消費者に説明する窓口をつくるべきだ」と問題提起する。
毎日新聞から
古紙利用なんて偽装するところもあったけどねぇ。
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